- なんだ
- I
なんだ(助動)〔中世後期から近世江戸語まで用いられたが, 江戸語の末期には「なかった」も用いられるようになり, 現代語では関西地方などで用いられる以外は, 「なかった」に取ってかわられた〕動詞および動詞型活用の助動詞の未然形に付いて, 過去における動作・作用・状態などの打ち消しを表す。 なかった。
「雷義がついに取ら〈なんだれ〉ば, 雷義が居ぬまに/蒙求抄2」「今までかみなり殿のれうぢのいたしやうを習は〈なんで〉ござる/狂言・雷」「まだ正月の礼にさへ参りませ〈なんだ〉/歌舞伎・阿波の鳴門」「おや, さつぱり知れまし〈なんだ〉わ/人情本・梅児誉美(後)」
〔(1)この語の成立については未詳。 一説に「ぬあった」の転かともいう。 (2)江戸語では, サ変動詞「す」および助動詞「ます」に付く場合, 「せなんだ」と「しなんだ」, 「ませなんだ」と「ましなんだ」の二形が行われた〕IIなんだ(連語)〔「なのだ」の転〕⇒ なのだ(連語)IIIなんだ【何だ】※一※ (感)(1)とがめる気持ちを表す語。「~, こんなこともわからないのか」「~, めそめそするな」
(2)期待・予想などがはずれたときの, 意外な気持ちを表す語。「~, これっぽっちか」「~, 案外軽いや」
(3)適当な表現が見つからないときに用いる語。「まあ~, お互いによくがんばったな」
※二※ (連語)(1)疑問の意を表す。 何であるか。「あれは~」「この機械の動力は~」
(2)言うのをはばかるときに用いる。「こう言っちゃあ~けど, 君もなかなかしたたかだね」
(3)恐れずに立ち向かう気持ちを表す。「~病気ぐらい。 負けやしないぞ」
→ 何だかIVなんだ【涙】「なみだ(涙)」の転。V「~満面に流れつ/自然と人生(蘆花)」
なんだ【難陀】〔仏〕〔梵 Nanda〕(1)釈迦の異母弟。 のち出家し, 感官を統御する力において仏弟子中の第一であったという。 孫陀羅難陀。(2)釈迦の弟子の一人。 牧牛難陀。(3)「難陀竜王」に同じ。
Japanese explanatory dictionaries. 2013.